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ハーブの基礎~ハーブは身近にある薬箱~
ハーブは料理をはじめとする生活のなかで役に立つ植物。
日本語に訳してみると「香草」「薬草」
そのなかでも人やペット等の動物の健康維持のために
ハーブの有効成分を利用していく方法を「植物療法」「薬物療法」とし
植物療法や薬物療法で使われるハーブをメディカルハーブと呼びます。
私たちに一番身近な日本茶もお茶の木の葉っぱを加工したハーブティーです。
皆さんあんまり意識したことありませんよね。お茶は抗菌力があることで有名で一日中お茶を飲んでいる人の方が風邪を引きにくいです。
例えばハーブティを飲むとき
リラクゼーションで3時のティータイムでのむ場合
何でもいいと気軽にチョイスして飲みますよね。
でもちょっと意識を変えるだけで
メディカルハーブとして使うことができるんです。
例えば胃の調子を整えるといった目的をもってのむ場合は…
胸焼けしているときはペパーミントを飲む。
お腹が痛いときはカモミールを飲む。
腸にガスがたまっているときはフェンネルを飲む。
といった具合で症状にあわせて身近な薬箱のような役割を果たすのがメディカルハーブです。
ちょっとコツがいるので一緒にハーブの基礎と注意点を理解して安全に楽しみましょう!
Herb=草、野草、草本は人類の歴史と共に
紀元前3000年前にメソポタミア文明をおこしたシュメール人は
病気になる=体のなかに住み着いた悪霊が悪さしていると考え
カモミール、ディル、フェンネル、ケシ、ローズマリーなどの
薬草を使って体の中から悪霊を追い出したりしていました。
古代エジプトでは、ミイラを作るとき内蔵を取り出し入れておく壺に
ミルラ、シダーウッド、シナモン等の薬草と共に入れて腐敗を防いでいました。
遺体にはシダーウッドの油に浸した包帯を巻き付けると
より良いミイラができることを発見していました。
またこの時代に書かれたパピルスの文書には
アロエ、オリーブオイル、クミン、コリアンダー等の約700種類のハーブが記録されうがい薬や湿布として使われていたことが記述されています。
古代ギリシャでは、医学の祖と呼ばれるヒポクラテスが提唱した養生訓があり
約400種のハーブの処方箋をまとめ自然に寄り添った生活をすることにより
自然治癒力も向上すると言及しています。
古代から植物を生活に取り入れていた中世ヨーロッパでは、
貧しい人々が病気になると魔女をたより薬草の薬を作ってもらっていました。
魔女は賢い女性たちで薬草の知識が豊富で様々な症状にたいして
適応するハーブを調合し困っている人々を助けていました。
ヨーロッパだけでなくアジアやアメリカ、中南米でも歴史が記されています。
ハーブはもともと野草なので世界各国で土地に合わせたものを取り入れているんですね。
シソ、ミツバ、ヨモギ、ワサビ、ゆず、クロモジ
スギナ、ドクダミ、山椒、梅など身近にたくさんあります。
メディカルハーブの有効機能は植物からのおすそわけ
現代の西洋医学でも、
薬の7割り程度は植物から発見され精製して作られています。
その有効成分は植物が自らを守るためです。
本来は植物が自分用に作ったものを人は横取りしてるわけですね。
有効成分には何が含まれているかと言えば。。。
①抗酸化作用、抗菌作用、抗ウイルス作用
植物は一年草から何千年という樹木まで年月を重ねていきます。
体内が酸化して老化しないように抗酸化物質を作り出します。
抗菌、抗ウイルス作用は動けないゆえに植物が作り出した力です。
地球にはどこでも菌やウイルスがいるのですが特に植物の場合は
地中から入ってくる菌や傷ついて入ってくる菌にたいして戦う力を備えています。
私たちが飲用したりすることで体の中で菌やウイルスと戦うことができるようになり元気をもらうことができます。
抗酸化作用、抗菌作用、抗ウイルス作用はほとんどのハーブが多かれ少なかれもっている作用です。
植物は動けないから余計に戦略を立てて自然の脅威に打ち勝っていくのです。
②鎮痛作用、健胃作用、利尿作用、消炎作用など
それぞれの機能をもつハーブの薬理作用を利用。
薬用植物から取り出されるお薬は
ハーブは薬と同じような作用を持っているので気を付けなければいけません。
例えば、セントジョンズワートというハーブは鬱にたいして有効ですが
抗HIV薬、強心薬、免疫抑制薬、気管支拡張薬、血液凝固防止薬、経口避妊薬
と一緒に使うには注意が必要です。
③免疫賦活作用、ホルモン分泌調整作用、鎮静作用
私たちの体には偏った状態をもとに戻す
「ホメオスタシス」という機能が備わっています。
自律神経系、内分泌系、免疫系の3つの司令塔から送り出される信号に反応して
心身の偏りのバランスをとり体の中が常に同じ状態に保たれているわけです。
免疫賦活作用、ホルモン分泌調整作用、鎮静作用は
免疫力を高める作用、ホルモンの分泌を調節する作用、神経系へ働きかけ神経をリラックスさせる作用です。
これらの作用は心身の機能を調整してくれる作用になります。
④ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカル
もともと植物であるハーブにはビタミンが多種含まれていて
ミネラルもバランスよく、食物繊維は水溶性食物繊維が豊富。
ファイトケミカルはアントシアニン、フラボノイド、カテキン、ポリフェノール
といった抗酸化作用を持った栄養素で
ビタミンやミネラルと同様に生体調整機能を持っています。
2ー3種類のハーブを組み合わせてハーブティを飲むだけで
体の調子を整えられていきますよ。
メディカルハーブの使い方
メディカルハーブをお手軽に取り入れたい
①ハーブティ
茶葉をポットに入れて葉ものは熱湯に入れて3分程度
根、果実、茎といった固い部分を含んでいる場合は熱湯に入れて5分程度蓋をして蒸らし茶葉を濾す。
場合によってはじっくり煮出して有効成分を取り出すこともあります。
ポットがない場合は急須でも作れます。
免疫力をあげるにはエキナセア
吐き気を抑えるのにペパーミント等のスッキリしたもの
風邪にはエルダーフラワー
それぞれ単体で飲むより数種類混ぜた方が飲みやすく相乗効果もあります。
湿疹や痛み、かゆみには
②浸剤
浸剤は葉や花といった柔らかい部分を熱湯で有効成分を抽出します。
基本はハーブティと同じように熱湯にハーブをいれ蓋をして10分おき濾す。
浸剤はタオルに浸し湿布も要領で使えます。
抗がん剤で傷んだ血管には患部を温めてあげると痛みが和らぎます。
抗がん剤による湿疹には冷ましてから使うと良いです。
じっくりお肌に浸透させたい
③浸出油
植物の油性成分を油に浸出させたものです。
植物油にハーブを入れて一ヶ月ほど放置すればできあがり。
浸出油は浸剤で温めた後の血管のケアに利用すると保湿と同時に血管も柔かくなります。
バスタイムも楽しみましょう
④入浴剤
ハーブを塩、重曹、クエン酸などと一緒に大きめのお茶パックに入れて
お風呂に入れると入浴剤になります。
体が温まり香りで癒されます。エッセンシャルオイルをくわえてもいいでしょう。
有効成分を余さず取り出したい時に
⑤ハーブ酒
ハーブの有効成分をアルコールで抽出すると、水溶性と脂溶性の両方の成分がとり出せます。
長期保存(1年)可能も嬉しいですね。
漬け込み容器はキチンと消毒して作ってください。
ハーブ1g:ウォッカ10mlの割合で2週間ほど漬け込んで、ハーブを取り出したら完成。
3mlほどをカップ一杯のお湯かお水で割って飲む。
ハーブの有効成分がストレートに体に入るのでハーブティよりもより多くの成分をいただけます。
キッチンで「もこみち」みたいになれる魔法のハーブ
⑥料理に使う
キッチンハーブはサイモン&ガーファンクルの歌詞の
「パセリ セージ ローズマリー&タイム」
とあるようにヨーロッパでは一般的に使われています。
日本で言えば梅やシソを使って料理をするもの。
ハーブは肉や魚の臭みとりになるので気軽な気持ちで試してみて。
ハーブをメディカルに使うときの注意点
ハーブの効果は一種類だけでも数えきれない有効成分を含んでいて
心身の両面において同時に作用していきます。
体は神経のバランスや水分のバランスを保ちながら健康を維持しているのですが
恒常性(ホメオスタシス)が崩れると不調になったり病気になったりするわけです。
植物を利用して自然治癒力を引き出していく療法が
アロマテラピーやメディカルハーブといった自然療法になり
調子を整えるために体のバランスをとるという考え方が基本になってきます。
植物をそのまま利用していくことになりますので、単一成分を取り出した医薬品とは違い一種類のハーブで多方面に作用していきます。
調子を整えるという観点で考えると、
同じハーブでも下痢、便秘の時に使うこともあります。
・添加物、着色料、残留農薬のないもの
・色がみずみずしいもの
・食品検査を受けている
・学名を表示している
・ハーブ専門店で購入しましょう
特に注意してほしいのは雑貨やさんなどで売られている商品です。
リラックスするために香料で香りや味を着けているもの等はメディカルハーブとしての期待はできません。
・ハーブティなど水から取り出したものはその日のうちに使いきる
ハーブティは作りおきをしても成分が変化してしまいます。
できるだけ作ったその日のうちに飲みきっていきましょう。
・利用部位により効果が変わってくることがあります
利用部位の確認をして購入しましょう
・浸剤や浸出油などのハーブ製剤を作るときは器具や手先を消毒をしてから作りましょう
・お子様、高齢者、妊婦には様子をみながら
妊婦に人気のラズベリーリーフは後期の出産準備のハーブです。
初期、中期に利用は避けるようにしましょう。
・植物アレルギーがある場合は注意して
利用したい植物の科名を確認してから利用してください。
キク科、バラ科、シソ科等アレルギーを起こしやすいものもあります。
・薬との併用に関しては注意が必要です。
特にセントジョンズワートは鬱にたいして有効ですが
抗HIV薬、強心薬、免疫抑制薬、気管支拡張薬、血液凝固防止薬、経口避妊薬との併用に注意
・保存は空気、紫外線、高温多湿を避けて
・ハーブ製剤は作った日をラベルに貼って
是非試してみてくださいね!