10天体とアロマ【海王星】

占星術の基本的な考え方として「天空には黄道12宮という地図」があるのをご存知ですか？黄道12宮とは占いで使われる12星座の帯のことです。
その星座の帯に、ある惑星が入ると…星座と惑星それぞれの基本的特徴と基本的意味を持って私たちに影響を与えるという考え方が占星術の基本になってきます。
土星よりも遠い惑星は世代を表す惑星といわれています。その中でも天王星は人の一生と同じくらいの時間をかけて地球を一周します。それ以遠の海王星や冥王星はそれよりも長い時を掛けて地球を一周していきます。一つの星座を通り過ぎていく時間が長い結果、世代を表す惑星といわれています。

夢見る世界を作ってくれる海王星のこと

1846年に発見された海王星は太陽から8番目の惑星で、ガリレオの時代には恒星と考えられていました。海王星は天王星の軌道を観測しているときに惑星として発見され、2011年7月12日にようやく地球を一周しました。太陽から45億440万キロほど離れているので地表は-218度と寒いのですが、地核は5000度という高温、風速2000キロの風が吹いていて地表にも変化がたくさんある惑星です。

海王星は英語でネプチューン。ローマ神話では馬や海の神、ギリシャ神話では海と地震の神ポセイドンになります。普段は海の底に住んでいて姿を現しませんが、嵐や地震をおこしたり海の怪物を連れて大暴れし傲慢な人々を罰したそうです。妻のデメーテルに地上の美しいものをリクエストされ馬を作ったのですが、沢山馬を作っているうちに妻のことを忘れてしまうほど移ろいやすい性格だったそうです。

古代から占星術の世界では7つの天体を利用していたのですが、天王星以遠の発見により10天体を利用するようになりました。
海王星の公転周期は165年。14年ほどかけゆっくりと一つの星座を通過していき、星座の特徴をまとっていくと世代の象徴となっていきます。個人の力では及ばないその海王星の力は現実から夢の世界へいざない漂う感じ。私たちの意識は忘れ去られ、無意識の自由な世界へ連れ出してくれる惑星です。銀河から降りてきた事柄について沢山のイマジネーションを温めて、古い時代のアイデアが新しい時代に現実化していく感覚が海王星。人はすべての星座の時代を体験することができないので、集団が受け継いでいくということになります。
魚座の支配星の海王星は霊性や集団的無意識、芸術、ダンス、石油、液体、幻想、夢、曖昧なもの、アルコールなど…。人々にとって見えないけれど価値が出てくるものを意味したり、手に取ることができないけれども精神的に満たされるものであったりといった物質世界から離れたものを意味します。身体部位は松果体、第六チャクラ。第三の目にあたる松果体はサイキック能力を活性化するといわれます。

誕生日・出生時刻・生まれた場所により割り出されたホロスコープ（出生図）では、サイン（12星座）・天体（惑星）アスペクト（惑星同士の影響を与える角度）・ハウス（時系列）がかかわってくるのですが、惑星が位置する星座の場所によって各々意味が変わってきます。
海王星はようやく一周を終えたばかりの惑星なので、人々に対して占星術的影響がどのように降りてくるかはまだまだ未知の部分があります。各世代に生まれた人々の象徴はその世代の人々のイマジネーションにつながり、各世代で起こる事象はいくつか前の海王星世代に生まれた人々が作り上げてきた現実となります。

12星座が海王星へ与える影響

牡羊座（1861～1874）
海王星牡羊座時代に生まれた人々は新世界の始まりに大きな夢を抱いて新しいことへの挑戦していきます。
アメリカでは南北戦争、日本では文明開化がおこり、世界遺産になった富岡製糸場も1872年操業を開始。貨幣制度や日本初新聞、鉄道の開通、北海道開拓の歴史もこの時期から始まり、日本では1873年から太陽暦を用いるようになりました。

牡牛座（1874年～1887年）
海王星牡牛座時代に生まれた人々は物質社会への新しい動きや五感を刺激する文化の担い手になります。
石油精製技術が発達しガソリンエンジンが開発（76年）され、ベルが電話機を発明（76年）エジソンが電灯を発明（79年）と現在の私たちの生活に大きく影響を与えています。文明開化の日本にはガス灯、電話、電灯はもちろんのこと西洋からビールやハヤシライスなど食文化の影響を受け鹿鳴館時代の始まりです。

双子座（1887年～1901年）
海王星双子座時代に生まれた人々は教育や文学への関心が高く理論よりも感受性に主観を置いた娯楽を作り出していきます。
学校令で義務教育が4年と定められ、その後、教育勅語が発布（90年）される。世界的な流れとしてロマン主義が隆盛を極め、日本でも森鴎外「舞姫」から始まったロマン主義文学が盛んとなり、樋口一葉、与謝野晶子、島崎藤村などが活躍、1900年には雑誌の明星も刊行を開始されます。活動写真（映画）が発明され（93年）、レントゲンがX線を発明（95年）し、普段は見えないところも見える時代になりました。

蟹座（1901年～1915年）
海王星蟹座時代に生まれた人々は家族愛・同胞愛を持ち、安住を求める家に対する夢や魂のイマジネーションも豊かになります。
日露戦争（04～05年）のさなか、与謝野晶子が弟にささげた「君死にたもうことなかれ」を掲載。平塚らいてうや与謝野晶子が「青鞜」を発刊し、婦人運動を起こすなど女性運動の先駆けとなる。その「青鞜」の中で、「元始、女性は実に太陽であった。今、女性は月である。他に拠って生き、他の光によって輝く、女性のような青白い顔の月である。…隠れたる我が太陽を、潜めたる天才を発現せよ…」とあるように女性の地位向上や社会進出を推し進めた。女性は社会進出を果たし職業婦人が誕生した。

獅子座（1915年～1929年）
海王星獅子座時代に生まれた人々は欲望を満たすため自己中心的な時代を築き、ロマンスとドラマ性の高いものがブレイクしやすい環境を作り出します。
世界初の世界を巻き込んだ第一次世界大戦（14～18年）では多くの国が参加して利権を争い、現在の社会の枠組みを作ったものとなりました。13年に発足した宝塚歌劇団は帝国劇場での初の東京公演を行いました。戦後は松竹キネマ合弁会社が設立され日本の映画産業も発展し映画が娯楽の王様の時代が訪れます。

乙女座（1929年～1943年）
海王星乙女座世時代に生まれた人々は完ぺきな世界を目指し、環境を改善していく力を持ち労働に対する意識の高さや健康に対する情熱を持っています。
世界恐慌が発生して（29年）日本では小作争議や労働争議が増加。プロレタリア文学が民衆の支持を受けていたが政府から思想の圧迫を受け、プロレタリア文学の旗手小林多喜二は特高による拷問で死亡（33年）。同じ年ヒットラー内閣が誕生。日中戦争（37年）が始まりファシズム体制強化へ。国のために欲望を否定する価値観が広がりはじめます。1941年には太平洋戦争により個人の自由は奪われ理想の国の建設のために総動員されることになります。

天秤座（1943年～1956年）
海王星天秤座時代に生まれた人々は平和で平等であり正義のある世界を理想としパートナーに対し寛容であり、美しい文化を生み出す。
太平洋戦争に敗戦を期した日本は戦後民主化政策が始まります。天皇の人間宣言、男女平等普通選挙、労働組合の承認、日本国憲法の発布など人々が平和で平等に暮らせる社会を作り高度経済成長期に入っていきます。労働運動や学生運動の高まりとともに「歌声喫茶」が大流行し、白黒テレビ・冷蔵庫・洗濯機が三種の神器と呼ばれ誰もが電気製品を手にすることができる時代へとなりました。法隆寺の大修理（55年）され、日本の美しい文化を守る文化財保護法（50年）が発布されました。

蠍座（1956年～1970年）
海王星蠍座時代に生まれた人々はスピリチュアルや性的なものへのあこがれを持ち、人間の内面に潜んでいる精神力からくる神秘的な能力の開花や復活を信じています。
ベトナム戦争反戦運動から始まった若者たちのムーブメント「ヒッピー」は、コミューンと呼ばれるヒッピー共同体で生活をし、徴兵を拒否し愛と平和とセックスと自由を主張。マリファナやＬＳＤなどの薬物からの高揚感をサイケデリックに表現する文化が流行り、当時世界を熱狂させていたビートルズがインド巡礼をしたことによりそのムーブメントは世界的に広まっていく。東洋思想や宗教が広く紹介され、個人の魂の解放を訴えていたヒッピーたちは伝統的価値観を脱ぎ捨ててカルト的集団が数多く設立されて世界的に大きく変化してく時代に突入しました。

射手座（1970年～1984年）
海王星射手座時代に生まれた人々はまだ見ぬ遠い世界への冒険や憧れを抱き、探求心を刺激し世界が身近に感じられます。
冒険家植村直己さんは1970年に世界初の五大陸最高峰登頂者となり1984年マッキンリーで遭難。川口浩探検隊がお茶の間でヒットしたり「遠くへ行きたい」などの旅番組が人々の旅心をくすぐりました。また、北海道を長い期間旅する旅行者や海外を自由気ままに放浪するスタイルの旅や、秘境・秘湯ブームがおこり秘境特集を組む雑誌が数多く出ました。1969年アポロ11号が世界初の有人月面着陸をし、世界では宇宙開発競争が激化していきます。水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星はこの年代にすべてび画像を撮影することに成功しています。

山羊座（1984年～1998年）
海王星山羊座時代に生まれた人々は現実的な成功をし企業での権力や肩書を得るような仕事へのあこがれを持ち努力します。
バブル景気（86年～91年）により、株式や不動産が高騰しそれをまとめて大規模開発をするために土地を買い上げる「地上げ」が問題になる。リゾート地やゴルフ場も続々と開発され田舎の安い土地までもが注目を浴び高値で取引されるようになった。公共企業だったものが解体され（ＪＲ・ＮＴＴ・ＪＴ・ＪＡＬなど）民営化された。バブルがはじけて株価低迷がおこり大手金融機関が次々と破たんし、バブル崩壊（96年～98年）に転じる。日本では阪神・淡路大震災（95年）があったり、世界ではチェルノブイリ原発事故（86年）東西ドイツが統一されベルリンの壁がなくなる（89年）湾岸戦争が開戦（91年）と世界でも国家を揺るがすような大きな出来事がたくさんありました。

水瓶座（1998年～2011年）
海王星水瓶座時代に生まれた人々は個人を超えどこまでも広がるネットワークを通してシンクロニシティの能力を発揮するグループとなります。
国々の主義主張を超えたＥＵの単一硬貨ユーロが誕生（99年）し、現在27か国体制にまで成長しました。携帯電話の普及も90年代半ばに入ると液晶画面になり軽くなるにつれ誰もが手にするようになり、インターネットに接続できるようになりました（99年）。同時多発テロにより世界貿易センタービルが崩壊（01年）してから各地で同時多発テロが起き続け、世界が一丸となってテロ撲滅をスローガンにしはじめたときです。東日本大震災が2011年3月11日に起き、世界中の人々が悲しみを共有。

魚座（2011年～2025年）
海王星魚座時代に生まれた人々は魚座の支配星である海王星の力が最大限発揮されるときです。現実的な制約や何事にもとらわれず自由に行動できる世代となります。
東日本大震災により世界中の人々が震災の復興に関して、支援や国を超えて震災ボランティアを申し出る人々が続出。物質だけではない心の絆が生まれています。スピリチュアリティが医療やターミナルケアなどに重要な概念として認められてきていて、時間・空間にとらわれず人々の交流がある時代となってきています。
海王星が回帰をした2011年から震災などの自然現象が私たちを襲っています。海王星も魚座は液体も表すの星座なので、水に関する災害が多くこの時代の事象ととらえることができます。
まだ始まったばかりの海王星魚座時代は海王星回帰により新しい時代の突入になります。古いものを洗い流し、愛にあふれる優しい時代がやってくることを祈っています。

海王星の香りは現実を超えたスピリチュアリティの世界へと導いてくれる香り。ミルラやフランキンセンスが主体の甘くてすっきりとしているのですが神秘的な香りです。